みなさんのまわりには印刷した色々な製品がありますよね。
なかでもポスターやタペストリー、ビル壁面や商業施設の幕、横断幕といった「大判印刷」に使われるエコ素材の生地が注目されています。
なぜ今、エコ素材の生地が話題なのか?
エコ素材の生地を使用するメリットは?
日本の環境対策の現状と併せてお答えします。
日本は環境対策が遅れている?
世界的に地球環境への関心は年々高まりつつありますが、なかでも2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)により一気に加速化しています。
日本でも「地球にやさしい」「エコ」「クールビズ」など、いかにも環境問題への取り組みをアピールしたキーワードが氾濫していますが、国際評価の観点からみるとその評価は極めて低いのが現状です。
例えばドイツのシンクタンクが公表したジャーマン・ウォッチによると「14の指標に基づいた世界主要排出国約60カ国温暖化対策パフォーマンス」での日本のランキングはというと2020年は下から11番目でした。
ほかにもウォータースタンド調べの「マイクロプラスチック問題に関する国際比較調査」ではG7各国の企業関係者700名を対象に調査を実施したところ、国、企業、個人の意識、行動レベルは全てG7内で日本は最下位に。
温暖化対策をめぐる国際会議のCOPでも「化石賞」という不名誉な賞まで受賞しています。
このようになってしまった要因としては、日本人の気候変動問題への基本知識に差があったことや、地球が非常事態という認識の不足、企業のスピード感のなさが指摘されています。
現代において環境問題はグローバル化し、それぞれの国の問題ではなく世界の国々の相互影響と依存度合いは急速に高まっています。
日本でもスーパーのレジ袋の有料化やプラスチックストローの廃止など、ようやく身近に感じられる対策がはじまりましたが、世界的にはまだまだ遅れています。
これ以上世界との差が開かないためにも、いよいよ本格的に環境問題へ取り組むという姿勢が日本の各企業でもみられるようになってきました。
エコ素材の生地が話題の理由と企業のメリット
環境対策としていま企業が注目しているもののひとつに「大判印刷」があげられます。
大判印刷にはポスターやタペストリー、ビル壁面や商業施設の幕、横断幕などがあり、企業や店舗のPR、販促アイテムとして使われています。
1枚で数十メートルのものや同じ製品を数百枚単位でつくるなど、その生産量は決して少なくありません。
しかしながら、使用される生地の多くは「環境配慮されているとは到底いえない素材」が原料となり、生産・廃棄のたびに環境破壊に加担している状況です。(もちろん全ての製品というわけではありませんが…)
以前からエコ素材の生地は存在していたものの、価格やクオリティ、耐久性などの面で企業側は導入を足踏みしていました。
しかし近年では生地メーカーの努力によって従来品の代替えとなり得るクオリティや耐久性の生地が開発され、価格も手の届かないものではなくなったこともあり、各企業から再度注目されています。
量産される大判印刷の製品にエコ素材を導入すれば、環境対策に大きく貢献できると同時に企業側にも多くのメリットがあることが予想されます。
それでは、導入した場合の具体的なメリットをみていきましょう。
【企業評価の向上】
環境対策を講じている企業は、事業以外でも評価されていきます。
自社の事業が環境に負荷を与えている場合には、責任をもって対処する姿勢をみせることによって、企業のイメージアップにつながります。
通常このような活動は自社のWEBサイトなどで掲載しますが、展示会ブースや販促アイテムにエコ素材の生地を使用することで、オフラインでも取引先や消費者にPRすることができます。
【廃棄量やダイオキシンの大幅な減少】
大判印刷で使用される生地には可塑剤・PVCが含まれていることが多く、焼却時のダイオキシン発生やリサイクルできないことなどが懸念されていました。
エコ素材は従来製品と比較すると大幅な廃棄量の減少ができる可能性や、環境配慮につなげることができます。
【従業員の満足度の向上】
自身の勤めている会社が世界的な社会問題に貢献しているとなれば、従業員は誇らしく思いモチベーションアップにもなります。
【メディアへの露出が増える】
環境対策のような社会貢献活動は、新聞や雑誌、テレビやインターネットなど様々なメディアで取り上げられる機会があります。
このような機会が増えれば広告費をかけることなく、多くの人に企業を知ってもらうことができます。
【新しいビジネスが生まれる】
環境対策を行うことによって、今まで関わりのなかった業種や企業との接点ができ、新しいビジネスが生まれるチャンスにもなります。
【持続的な資源の確保につながる】
もし企業が環境に負荷を与え続けるような事業を継続した場合、将来的には資源の確保が困難になる場合もあります。
利益を追求する経営はもちろん大切ですが、利益だけを追求しては持続的な経営が困難になり、利害関係にある対象からの信用を得られなくなる可能性もあります。
企業が環境対策に取り組むということは、利害関係に良い影響を与えるだけでなく、持続可能な経営にもつながるメリットになります。
屋外仕様の耐久性【エコクロス】
PVC・可塑剤を使用しないエコクロスは、屋外で定番として使われるターポリンの代替えにもなる生地です。
防炎試験もクリアしているため、屋内でのイベントや展示会にも使用できます。
植物由来のバイオマス資源から誕生【ecoトロマット】
バイオポリマーから生まれた省エネで環境にやさしいecoトロマットは旗やバナーに使用され、エコマークの認定番号も取得しています。
両面印刷も可能【eco遮光スエード】
ファブリック素材で両面印刷が可能な、希少なエコ素材の生地です。
製品全体の50%以上がリサイクル繊維で出来ているためグリーン購入法適合商品でもあり、屋外使用も可能です。
エコ素材の生地は基本的に従来の代替え品になるように作られています。
従来品と比較して価格が上がってしまうという点は課題ですが、それ以上に企業価値や環境配慮の観点からみるとメリットが優先され、導入する企業が増えています。
まとめ
- 日本の環境対策は国際評価の観点からみるとその評価は極めて低く、その要因は日本人の気候変動問題への基本知識に差があったことや地球が非常事態という認識の不足、企業のスピード感のなさが指摘されている。
- エコ素材の生地は、近年では生地メーカーの努力によって従来品の代替えとなり得るクオリティや耐久性を考慮した生地が開発されている。
- エコ素材の生地を使うことで「企業評価の向上」「廃棄量やダイオキシンの大幅な減少」「従業員の満足度の向上」「持続的な資源の確保につながるメディアへの露出が増える」「新しいビジネスが生まれる」など、さまざまなメリットがある。
- 大判印刷に対応したエコ素材の生地は、価格が上がってしまう点を考慮しても企業や環境配慮の観点からみるとメリットが大きい。
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