UVインクジェット印刷は、インクを紫外線で照射することによって硬化させる印刷方法です。
ノベルティや販促物の印刷で「紙以外のものに印刷したい」と思ったことはありませんか?
UVインクジェット印刷では木材やアクリル、金属のほかさまざまな素材にプリントができます。
UVインクジェット印刷の特徴を知っておけば、プリントできる素材が増えるだけでなく、創造の幅をグッと広げることも可能です。
本記事ではUVインクジェット印刷のメリットや具体的な使用例、注意点などをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
UVインクジェット印刷ってなに?
UVインクジェット印刷とは、デジタルデータをプリンターに読み込ませることで1枚からでも印刷できる、インクジェット印刷の一種です。
シルク印刷では難しい、フルカラーの写真やグラデーションの再現や、オリジナルの販促物やノベルティ、広告物、量産前の試作品などさまざまな用途で使われています。
UVインクジェット印刷に使用するUVインクは、紫外線を照射することによって瞬時に硬化・定着することができるため、アクリルや金属、木材など、プリントできる素材が豊富です。
またUVインクジェット印刷に使用するプリンターは対応サイズもさまざまです。
スマホケースや文具のような小さなものは、A3サイズ対応の小型プリンターが適しています。一方で看板に使用する大判サイズのシートは、幅5メートルの大型プリンターで対応することが可能です。
ではUVインクジェット印刷にはどのようなメリットがあるのかみていきましょう。
インクが硬化・定着する
1つ目はインクが硬化・定着することです。
先述したように、UVインクジェット印刷に使用するUVインクは、紫外線を照射することによって瞬時に硬化してプリントする素材へ定着します。
UVインクの瞬時に硬化する特性によって、インクを重ねて凹凸感を出すエンボス印刷や、白インクを使用した複数層のプリントが可能です。
また、通常インクジェット印刷の対象物にはインクが定着するための受理層が必要ですが、UVインクジェット印刷ではこの受理層がなくてもプリントできます。
受理層がなくてもプリントできるため幅広い素材に対応できるのです。(どのような素材でもOKというわけではありませんが)
さらに、UVインクは溶剤インク系のようにプリント後の乾燥時間が必要ないため、プリント後はすぐに加工や出荷ができるので納期短縮にもつながります。
コストの削減
2つ目はコストの削減です。
パネルや看板を作成するとき、通常のインクジェット印刷ではまず紙にプリントをして表面にラミネート加工をし、スチレンなどの素材に貼りつけます。
一方でUVインクジェット印刷では素材へダイレクトにプリントできるので紙にプリントする必要はありません。
またUVインクは耐久性が高いので雨で剥がれることはなく、擦れにも強い(※)ためラミネート加工も不要です。(※鋭利なもので擦ると落ちる場合があります)
このようにUVインクジェット印刷では通常のインクジェットで行う「紙にプリント」「表面にラミネート加工」の2つの工程が不要となるのです。
これによって、どの程度コストを削減できるのでしょうか。
スチレンボードを例にして確認しましょう。(サイズは900mm×1800mmとします)
スチレンボード | 8,000円 |
---|---|
紙+プリント | 9,000円 |
ラミネート加工 | 2,000円 |
合計 | 19,000円 |
スチレンボード+プリント | 10,000円 |
---|---|
合計 |
10,000円 |
1枚からでもプリントできる
3つ目は1枚からでもプリントできることです。
UVインクジェット印刷は版を制作する必要がないため、デジタルデータを入稿すれば1枚からでもプリントが可能です。
量産前に試作をしたい、オリジナル製品を作りたい場合には、UVインクジェット印刷で気軽に作ることができます。
プリントできる素材が豊富
4つ目はプリントできる素材が豊富なことです。
先述したように、UVインクジェット印刷では受理層がなくてもプリントできるため、紙以外にも多くの素材にプリントできます。
どのような素材にプリントできるのかみてみましょう。
アルミ複合板 | スチレンボード | 発泡スチロール | 木材 | タイル | ガラス |
ゲータフォーム | 石膏ボード | ポリカーボネイド | 金属 | 畳 | PP板 |
アクリル板 | 低発泡樹脂板 | 軟質PP・軟質塩ビ | PET板 | 塩ビ板 | アクリル |
こちらは一例です。気になる素材があれば、ぜひ印刷会社に問い合わせてみましょう。
大判サイズに対応
最後は大判サイズに対応していることです。
出力機や素材にもよりますが、当社保有のフラットベッド(板状のもの)機では最大2,100mm×3,100mmの大判サイズが対応できます。
プリンターによって対応できる厚みも変わってくるため、あわせて確認するいいでしょう。
機種名 | 最大印刷幅(mm) | 対応厚(mm) | 白インク | 保有台数 |
---|---|---|---|---|
JFX500-2131 | 2,100×3,100 | 50 | ○ | 2 |
JFX200-2513 EX | 1,300×2,500 | 50 | ○ | 1 |
UJF-6042 | 610×420 | 150 | ○ | 1 |
このようにUVインクジェット印刷には多くのメリットがあります。
続いて、実際にどのように使われているかみていきましょう。
アクリル板

透明のアクリル板に白インクを使用したUVインクジェット印刷です。
白インクを使うことでインクの透過を防ぎ、文字を見やすくしました。
白インクにカラーインクを重ねることもできます。
透明素材ではアクリル板のほか、ガラスやPETにも対応できます。
暖簾(のれん)

店頭で使う簾素材の暖簾にUVインクジェット印刷をしました。
暖簾は布製が多いなか、簾素材にプリントしたことでオリジナリティのある暖簾となっています。
UVインクは耐久性が高いので、屋外でも活用できます。
木材

木材の下駄にUVインクジェット印刷をしました。
木材はオリジナルノベルティや販促物としても人気のある素材です。
名札やメニュー表、看板などの商品を作ることもできます。
スマホケース

ポリカーボネートのスマホケースにUVインクジェット印刷をしました。
小型タイプのプリンターを使って、細かいデザインもキレイに表現できます。
オリジナルのスマホケースも1個から作ることができます。
障子・襖・畳



UVダイレクト印刷を使用した障子、襖、畳です。
店名やデザインを印刷して、オリジナルの和空間を創ることができます。
飲食店や旅館で使用されています。
インテリア小物

スイッチパネルにUVダイレクト印刷をした例です。
UVインクは剝がれる心配がないので、頻繁に触る場所でも使用できます。
プリント面の凹凸
一つ目はプリント面の凹凸です。
凹凸差があるとインクを均等にのせることができずに仕上がりが汚くなってしまうほか、プリンターのヘッドが擦れるといったトラブルに繋がります。
UVインクジェット印刷では、プリント面は1mm以下で、極力フラットに近い素材が好ましいでしょう。
UVインクジェット印刷のよくあるご質問
当社のUVインクジェット印刷において、よくあるご質問についてご紹介します。
Q UVインクジェット印刷での最大印刷サイズは?
A シートタイプでは幅5メートル、フラットベッドタイプ(板状のもの)では2,100mm×3,100mmになります。
Q UVインクジェット印刷ではどのようなデータが必要?
A Adobe illustratorやPhotoshopのデータをご用意ください。
Q UVインクの耐久性はどのくらい?
A およそ2~3年となりますが、使用環境によって異なります。
Q UVインクに匂いはあるの?
A UVインクには特有の匂いがあります。気になるようでしたら、事前にサンプルをお渡ししますのでご確認ください。
Q 曲面へプリントしたいのですが
A 申し訳ございません。曲面へのプリントは不可となります。
Q シルク印刷より価格は安くなる?
A UVインクジェット印刷では版代が不要となるので、プリント枚数によっては圧倒的に価格が安くなる場合があります。
Q 素材を支給したい
A ご支給頂いた素材へのUVダイレクト印刷も可能です。必ずしもプリントできるとは限らないため、予備の素材をご用意頂けますと幸いです。
UVインクジェット印刷を活用しよう!
UVインクジェット印刷では、UVインクによって木材やアクリル、金属など多くの素材にプリントができるほか、白インクを使用した複数層のプリントもできます。
コストの削減や、納期短縮、プリントできる素材の対応力などメリットも多く、ノベルティや販促品、広告物を作るときにぜひ導入したい印刷方法ですよね。
一方でプリント面の凹凸差や、素材によってはインクが定着しない場合もあるため、注意も必要になります。
機械によって対応できる内容も異なるので、依頼する印刷会社に事前に確認しておくと安心です。
初めてUVインクジェット印刷を試してみたい方、UVインクジェット印刷でお困りの方や不明点がございましたら、お気軽にご相談ください。
Writer
N.Ishibashi
美術館など文化施設の企画展デザイン会社を8年経て、2012年サインアーテックへ入社。サイン業界歴15年以上の経験を活かし、初心者にもわかりやすいように解説します。
WEBについても日々勉強中。
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